【第246夜】
さる高名な方の未亡人から電話があり、私の原稿は大丈夫かしら?、などとおっしゃっている。今日、最終的に原稿はいただきましたので明日と明後日、校正刷りが出て、よろしければ仮名遣いなど私の方で直させていただきますと言うと、そうわかりましたわと答えながら、そのまま通話が途絶えてしまう。どうやら混乱を避けて香港シャングリラホテルに泊まって、自宅には連絡がつながらないらしい。今でもシャングリラホテルはあるのだろうか?、と考える。電話を代わってほしいと言う美女の目配せがあったが、信頼できずあえて知らぬふりで無視してぷっつり電話を切った。