観阿弥世阿弥の「江口」5


諸事確認のため「能楽風土記」薮田嘉一郎を探し出した。家の中で行方不明になっていた本。


薮田氏が参考にしていて私が未見な書物は数多いが、中でも滝川政次郎「遊業女婦・遊女・傀儡女」はどうしても読んでおきたい。滝川先生は法制史ですっかりお世話になっているけれど、紅灯の巷での研究の方はさっぱり読んでいないので残念だ。


それはさておき、「能楽風土記」にあたってみよう。


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# by kugayama2005 | 2022-03-09 17:01 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


観阿弥世阿弥の「江口」4


あえて「江口」を観阿弥世阿弥の作としたが、世阿弥の著「五音」には、「江口遊女」として「亡父(観阿弥)曲」と付記されている。一方、世阿弥が相当手を入れたことも想像される。


遊女は3人で行動するので、江口の能でも3人現れる。メインの遊女が鼓を持ち、若年の者が大傘を差し掛ける。もうひとりは舟(小端舟)の櫓を漕ぐ艫取(ともとり)だ。その様子は「法然上人絵伝」に書かれている。


室町幕府になると遊女の自由営業が禁止されて、管理されるようになる。一休宗純は、自由営業だった頃の遊女は知らないのだろう。


女性に財産権があり、家の主人になることもあった時代が、室町時代あたりで変わったという識者の指摘もある。


遊女江口はそうなる以前の、独立して宿を構え、主人として自由営業をしていた人物ということになる。


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# by kugayama2005 | 2022-03-08 17:02 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


観阿弥世阿弥の「江口」3


遊女江口の君、当時の遊女は自家の主人であって、自由営業をしていたらしい。遊女の宿は、贅沢な調度でもてなしており、そこに泊まれるのは貴人クラスではないか。遊女の歌舞や、希望によっては夜のお楽しみもあるわけで、西行のような世捨て人の行くところではない。


西行もそれを知らずに宿を求めたわけではなく、驟雨にかこつけて訪ねたにちがいない。


遊女江口の君の動揺と、無碍に拒否したわけではないのに、歌の解釈が彼女の意に反していく悔しさがあるのだ。


■TOKYO春になれば/EOS 5DS REF400mm F5.6L USM

今年は梅メジロより先に、河津桜のメジロを撮ってしまいました。

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# by kugayama2005 | 2022-03-07 17:01 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


観阿弥世阿弥の「江口」2


内容:


1 京都から旅の僧が、西国見物に出る。深夜に京都を出て、淀川を舟で降る。

2 鵜殿という葦の名所があり、松明の煙が漂ってくる。そこが「江口の里」(現:東淀川区南江口三丁目13に寂光寺・江口の君堂があるが、その近辺に江口の里はあったのだろう)

3 僧は地元の人に、江口の長(遊女・江口の君)の宿の昔あった場所を聞いて、そこを訪ね「ああこれが江口の君の旧跡か」と感慨にふけり、思わず「世中を いとふまでこそ かたからめ かりの宿りを おしむ君かな」(世を厭い、出家することは当然難しいことだが、それに加えてさらに君は仮の宿さえも惜しんで貸さないのかね)と西行の歌をつぶやく。

4 人家もないところからひとりの女性が現れて「ねえ、どうしてその歌を詠ったのかしら?」と声をかけてくる。そして「宿を貸すのを惜しんだわけではありません。どうして惜しんだなどと言うの」と言う。

5 月に光る淀川の水面に舟が現れ、さきほどの女性(実は江口の君の幽霊)が乗っている。

6 江口の君の幽霊は、遊女としての生活を回顧し、世の無常を訴えて舞う。

7 そして「そういえば、この仮の宿の現世に心留めるなと言ったのは私だった。では、これまでにて帰ります」と言うと、江口の君は普賢菩薩となり、舟は白象に化して西方浄土に飛び去った。


■TOKYO春になれば/EOS 5DS REF400mm F5.6L USM

ヒヨドリというのは、実は世界的にみれば珍しい鳥だそうです。花の蜜が大好き、というよりも他の餌採りが下手なので、結果としてこうなるようです。

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# by kugayama2005 | 2022-03-06 17:00 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)

酒器彩々83

酒器彩々83
最後のクワイ。さすがに連作していると美味しくなくなる。
/iPon
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# by kugayama2005 | 2022-03-06 00:00 | 酒器彩々 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005