承前:


市民資本と宗教改革といえば、おそらくピューリタン(清教徒)革命が思い出されるだろう。ピューリタン革命ではチャールズ1世が斬首されたが、その後10年で王政復古がなされて、それではさてピューリタン革命とは何だったのか?、ということになる。


日本でも一向一揆は、ほとんど歴史から外されている。天下の名城とされる大阪城も一向衆の根拠地(大阪御坊=石山本願寺)で、金沢城(尾山御坊)もそうだ。ところが人びとは、戦国時代以降のことしか語らない。


両城の一向衆を攻撃したのは、織田信長。信長は一向衆との戦いで、運を使い果たした感がある。


それはさておき、ジェントリ(資本を蓄積した地主層)の一部がピューリタンになり、政治権力(王政)に正面からぶつかる原動力になった、


という構図は、一向一揆の背景に「国人」がおり、有力国人の一向衆(一向一揆の場合は浄土宗本願寺派)が原動力になったということと類似している。


国人とは中世の概念だが、古代に照らせば郡司などに相当するのだろうか。もっと古い概念でいえば国津神か。


ー続く


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# by kugayama2005 | 2022-02-24 17:00 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


1 個人の富(私有財産)を追求できる衆生が出現する

2 農奴的な生活を離れ、生産と納税に参画する

3 市場が出現し、貨幣が現れる

4 軍事が経済的な貪欲を背景とするようになる


というような、観阿弥世阿弥や一休宗純の生きた時代を想定して、そこにあるはずのエートス(無意識の人の道の動機づけ)を考えた場合、市民資本と浄土教が強く結びつくのではないか?


ー続く


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# by kugayama2005 | 2022-02-23 17:02 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


「堺」という地名は、摂津国、和泉国、河内国の境にあったことから名付けられたと言われる。


その「境」に、朝廷、幕府や寺社の政治権力と離れた自治が生まれたということは、今のここのテーマ「境界と自由」にぴったりの対象だけど、それを考えるのはもっと後にしたい。


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# by kugayama2005 | 2022-02-22 17:02 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


なぜ堺が都市化したかというと、新しい貿易港として堺港が選ばれたからだ。一休宗純は、遣明船が堺港を使う以前から堺に目をつけている。


1399 応永の乱(室町幕府軍が堺で大内義弘を討つ)

1432 一休宗純 堺に現れる

1467 応仁の乱 始まる

1469 遣明船 初めて堺に帰着

1476 遣明船 初めて堺から出発

1477 応仁の乱 終息

1481 一休宗純 没

1484 堺の会合衆(自治組織の幹部)初めて文献に現れる

1501 尾和宗臨(堺の豪商で一休宗純の支援者) 没


この頃、鋳鉄の生産拠点が堺周辺にでき、1540年代後半ごろからは鉄砲生産を手がける。

遣明貿易に堺港が使われたのは、応仁の乱の影響がありそうだ。


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# by kugayama2005 | 2022-02-21 17:00 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


かくしてこの稿はふたたび「境界と自由」に舞い戻る。


さて、一休宗純が堺に突然現れた理由は、堺が新しい都市だったことによると思うが、彼は宗派を広めようとしたわけではなく、新しい市民資本主義を見に行ったのではないかと思う。不振だった堺市中の扇屋に協力を申し入れ、白扇に文字や絵を墨書して売り出すなど、商売の実体験もしている。その後自分の庵を「売扇庵」と名付けて自嘲してもいるように、良い体験だったのだろう。


先走って、市民資本主義(という言葉は私が勝手に作ったので正当性はない)の成立条件を以下考えてみた。


1 全体的なパイの拡大(経済成長)

2 不公平の是正への多岐な試み(制度改革)

3 なんらかの抑制的なモラル(合意形成)

4 市場に新規参入できる機会(規制緩和)

5 資産・投資の合理的な保護(自衛措置)


ー続く


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# by kugayama2005 | 2022-02-20 17:00 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005