◼️ 戸田茂睡「御当代記」から
承前:
1「御当代(徳川綱吉の時代)になりて犬をおいたわりあそばされ候」1687/貞享4年2月/(続々々)
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◼️「(幕府老中より書面で町奉行に通達があったがその内容は)『屋敷内や町内に存在する犬を調査し、毛色なども含め台帳をつくった。犬が他の場所に行って見つからない場合、お互いに犬を探し合ったりして手続きが煩瑣だということを聴いた。犬が見つからないなら無理をして探さなくてもよい。また、主なし犬はどこからか来た犬でも、そのままにしておいて宜しい』。このような老中の指示があったことを将軍が聞きつけて『老中の犬についての行政指導の趣旨は老中の誤解に基づくものである』という覚書を出された。それで老中は、2月21日改めて次のような通達を出した。『それぞれ飼い犬の毛色などを調べ、台帳に登録している過程で犬が見つからない場合、どこからでも犬を連れて来て数を合わせているという噂がある(と将軍に指摘された?)。この政策は究極のところ、将軍が「人々が生類を憐むように」と思し召したことが基本であり、将軍もその点について丁寧に説明された。「実のある運用をしろ」というご指示であり、今後は飼い犬が見つからない場合は皆で十分探し出すように。もし粗末な調査をした者があれば、責任者に告発せよ。他所よりやって来た犬があれば放置せず養って、飼い主が判明したならば速やかに返還せよ』
ー続く
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