2019年 03月 19日
2019日記【077】斉明(天智・天武)持統期の心的推移 54
◾️薬狩り 2
女性の薬狩りは、菜摘ということですが、その菜の中には、強い毒性のあるものや、向精神性の作用があるものもあるはずです。
菜摘の場所には、辰砂が見つかるかもしれません。吉野川周辺から伊勢方面では、辰砂が採れます。辰砂は、赤色(丹)の原料でもあり、水銀をつくることもできます。
朝廷がこの場所を、とりわけ神秘的な場所としていた、一つの側面でしょう。辰砂の赤色顔料は、縄文時代から使われていますので、天皇グループがヤマト入りする前の先住民が、その秘密をすでに知っていたわけです。
植物や鉱物の作用、それは健康を促進させたり、あるいは害を及ぼしたりするわけで、私的推測では、巫女的存在はそれらを熟知していた。
妄想ですが、額田王がなぜもてるのかというと、そっちの知識も豊富だったからでは、と思います。
さて、亡命渡来系の知識人が、特に百済滅亡後たくさんやって来て、朝廷で地位を得ますが、近江朝で採用された官僚のうち、薬学系の面々は、
・㶱日比子 贊波羅 金羅金須(これが一人の名なのか、三人なのか不知)
・鬼室集信
・德頂上
・吉大尚
というわけで、全員、百済人です。上の2名が上級職で、百済での官位も上位だったと推察されます。(2019日記【071】で触れた人事)
ここでも、旧来の人々は疎外されている感が強いですね。巫女の菜摘というような風情は、近江朝末期には感じられません。繰り返しになりますが、そのあたりが壬申の乱の伏線になっている、と思います。
「われわれが酷い目にあった百済再興の戦争で、逃げてきた亡命百済人がいい思いをしている」という怨嗟です。
【写真】春のヒヨたん劇場
EOS 5DS R/EF400mm F5.6L USM
すべてあわせて見ると、さらに色も統一感があってさすがだ!
青サギも・・う~んなんというか新色。
この写真を見て、私には理解までたどり着かない遠い昔の話も、現代に持ってこれる話の感じがする。