2019年 08月 04日
2019日記【215】斉明(天智・天武)持統期に至るまでの私的妄想 135
2019日記【046】で触れた万葉集の冒頭の歌、雄略天皇の長歌について思い出してみると、巫女の育成機関で重要な科目は、本草学だ。
雄略天皇の歌は、春の野で草摘みをしている若い女性を偶然見つけて、誘いかけているのではない。巫女の修行に山ごもりをしている、有力者の優秀な娘を選んで、声をかけている。
後宮に優秀な薬剤師を置きたいのだ。後年の額田王も、そのような薬剤師だったと思う。薬剤師は、人を健康にすることが役割だが、その反対のこともできる。
(再掲)
◾️雄略天皇の長歌
籠(こ)もよ み籠持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串持ち この岳(をか)に 菜(な)摘(つ)ます兒(こ) 家聞かな 告(の)らさね そらみつ大和の国は おしなべてわれこそ居(を)れ しきなべてわれこそ座(ま)せ われにこそは告らめ 家をも名をも
【私訳】
カゴですね、良いカゴをお持ちだ、掘り道具ですね、良い道具をお持ちだ
この丘に草摘みなさるお嬢さん、あなたの家はどこですか、お答えなさい
この、天神が高天原から見たという大和の国一帯は、私がいて、私がすべて統治している
私にこそ、お嬢さん、あなたの家や名を、教えなさい