2022日記【155】お釈迦様、最後の旅17


28 お釈迦様は、ヴァッジー国の首都ヴェーサリー郊外に着くと、アンバパーリー所有の林に住んだ。


アンバパーリーとは「アンバ樹を育てる女」との意で、アンバの実がマンゴー。アンバパーリーは娼婦で、大邸宅に住んでいた。


29 娼婦アンバパーリーは、お釈迦様がヴェーサリーに来て彼女のマンゴー樹園に住まわれたと聞いたので、いとも美しい多くの乗り物を連ねて、ヴェーサリーの街から樹園にやって来た。お釈迦様は彼女に法話を与え、訓戒し、励まし、喜ばせた。彼女は「お釈迦様とお弟子たちに、明日供養を差し上げたいと思います」と、食事の用意を申し上げた。


30 同じころ、ヴェーサリーに住む貴族リッチャーヴイ家の青年も、お釈迦様がヴェーサリーに来て、娼婦アンバパーリーのマンゴー樹園に住まわれたと聞いたので、いとも美しい多くの乗り物を連ねて、ヴェーサリーの街を出発していた。


31 娼婦アンバパーリーの車列と、リッチャーヴイ族の車列が、街道で行き違った。その時、アンバパーリーは彼女の車の車輪を、リッチャーヴイ族の青年の車の車輪に衝突させた。


リッチャーヴイ族の青年「やぁ、アンバパーリーよ。どうして車を衝突させるのだ!」


娼婦アンバパーリー「貴公子たちよ、今私は私の家に、お釈迦様とお弟子たちを招待したのです」


リッチャーヴイ族の青年「やぁ、アンバパーリーよ。10万金出すからその供養の役を私に譲りなさい」


娼婦アンバパーリー「貴公子たちよ、このヴァッジー国すべてを私に下さっても、お釈迦様の供養はお譲りできません」


リッチャーヴイ族の青年は「ああなんということだ。つまらぬ女に打ち負かされ、してやられた」と悲嘆にくれた。


32 リッチャーヴイ族の青年は、急いでマンゴー樹園に向かった。お釈迦様は、遠方からその青年の車列を見て、弟子たちに言った。


お釈迦様「お前たちの中で第三十三天の神々を見たことのない者は、あのリッチャーヴイ族の群れを見なさい」(お釈迦様はユーモアで、あるいは少し皮肉で「すごいね、三十三天の神々かい」と仰ったのだろう)


33 リッチャーヴイ族の青年たちに、お釈迦様は法話を与えた。リッチャーヴイ族の青年はお釈迦様に「供養食を差し上げたい」と申し出たが、お釈迦様は「娼婦アンバパーリーとすでに約束したのだ」と仰った。リッチャーヴイ族の青年は「ああなんということだ。つまらぬ女に打ち負かされ、してやられた」と、悲嘆にくれながら敬礼して去っていった。


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by kugayama2005 | 2022-06-05 17:01 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005