2023日記【241】境界と自由752

◼️「あぶれ」/17121019日/現:石川県加賀市大聖寺鍛冶町10/願成寺

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大聖寺藩で起こった一揆、最終的に年貢の税率交渉もまとまった。交渉の場、願成寺や周囲に大勢の農民がつめかけ、座り込んでいたが、朝、寅の刻(未明)、突然、正体不明の「あぶれ者」が暴れ込んできたのだ。<那谷寺通夜物語>

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1 何者かはわからない紺の着物、紺のはちまきという揃いの装束の男、二、三人が願成寺門前にやってきた。9尺ばかりの長い樫の棒をもち、足元もきちんと(武士のような)備えをしている。

2 その者どもは、寺の門番をばらばらとなぎ倒して侵入し、お堂の扉をはらりはらりと打ち倒した。

3 中にいた百姓衆は「これは大聖寺藩の鉄砲足軽衆か?」「お侍がこんなに多くのおれたち百姓を捕まえにきたのか?」などと疑うが、何が起こっているのかさっぱりわからない。

4 その者どもが戸障子を叩き割り、堂内に乱れ入ったので、中にいた男女の百姓衆は皆動転し、目が回ってしまった。「それ逃げよ」と、お堂を飛び出して走り出した。竹藪をくぐり生垣を壊して無理やり潜り抜け、濠に落ちて湯上りの若旦那のようにずぶ濡れ、倒れ伏したりしながらも四方に散っていった。不思議なことが起きたものだ。

5 村役人が「これは大聖寺藩から来たお侍ではないぞ。酒を飲んだ乱暴人だ。皆で叩き伏せよ」と言うと、暴れていた二人は逃げ出したが、もう一人はなお棒を振り回して駆け回る。村役人の指示で皆がまとまって押し出し、村役人がその乱暴人をお堂の階段から突き落としたが、男は今度は庫裏の方に回って台所に入り、棒で叩き回った。台所に隠れていた皆は「わあっ」と叫んで、逆にお堂の方に駆け込んできた。

7「酔った乱暴人に違いない、取り押さえて縛れ」ということになり、大勢の者がのしかかり押し倒し「縄で縛れ縄だ」と叫ぶと、和尚さんは心得たりとばかりに一把の縄をはっしと投げ渡す。だが、あまりに多くの者がのしかかっていたので、いつの間にか乱暴人はかいくぐって抜け出し、逃げていた。皆でぐるぐる巻きに縛り上げたのは、なんと仲間の百姓だった」

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正体不明の「あぶれ者」だが、後日、その男のひとりは「島の四右衛門」で、林村から島村に婿入りして来た者だとわかった。乱暴を働きに来る時、酒を持参していたわけではあるまい。山代の茶屋宇兵衛あたりで呑みすぎて酔ったのか、あるいは願成寺で報恩講の準備につくってあった濁酒を乱暴人は皆呑んでしまっていたので、人びとは「空腹で大酒してあのように酔狂したのだろうか」と噂した。

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つまり正体不明の「あぶれ者」と言っても、それなりに普通の人だったわけで、一種の愉快犯かもしれない。

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大聖寺藩一揆「那谷寺通夜物語」については2023日記【160】(2023-06-09)〜2023日記【179】で書いた。

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↓ 願成寺(GoogleMapから)

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↓「あぶれ」が酒を呑んだのではないかという山代温泉。明治期の加賀山代温泉総湯を復元したもの/山代温泉のページから無断拝借

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by kugayama2005 | 2023-08-29 17:00 | 2023日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


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