2023日記【245】境界と自由756

2023日記【245】境界と自由756


◼️「悪たれ」/17121007日/現:石川県小松市串茶屋町2


先に登場した(甚四郎に打毀しの危急を知らせに走った)「二梨村の平兵衛という剛力の相撲取り」のその後。


1 二梨村平兵衛はいつも世話になっている茶問屋甚四郎の家が打毀しに遭うという情報を得て、二梨村から急いで甚四郎宅に駆けつけて危急を知らせた。(甚四郎は不在)

2 打毀しが始まると「少しでも財物を保全して親父さま(甚四郎)に喜んでもらおう」と、甚四郎邸にあった「巻き絹123疋入りの長持ち」を持ち出し、家の向かいにある竹藪に隠そうとした。

3 平兵衛は竹藪で竹の切株を踏み抜き、激痛に「ギヤ」と叫んで倒れる。その夜這って二梨村に帰るが、意識を失い苦悶する。

4 その後、小松まで駄馬で行って下手な外科医にかかり、医者は平兵衛を縛りつけ釘抜きで竹を抜くが、却って激痛に見舞われ、平兵衛は10日ほどで死んだ。

5 人びとは言う「危急を知らせるなら甚四郎に知らせるべきだろう。巻き絹入りの長持ちを甚四郎のために隠そうとしたと言うが、実は自分で盗み取ろうとしたのだろう」

6 平兵衛は那谷の一揆でも先頭に立って悪口を言い「北国開山ニ梨の平兵衛なり。見よや」と名乗って大石を投げつけて寺門を破壊した。また竹槍多数を作って皆に持たせた。人は知らぬが那谷の観音は見咎めて罰を下された。因果が現れるのは恐ろしいことで、一揆衆67千人のうち死んだのは平兵衛ひとりのみだ。


平兵衛の住まいがあったニ梨村は、現:小松市二ツ梨町で、周辺では縄文時代から古墳時代、奈良・平安時代の器物、窯跡が多数発見されており、現在でも九谷焼の生産地だ。

発掘された奈良時代の土師器(小松市のページから)

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by kugayama2005 | 2023-09-02 17:00 | 2023日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005