2023日記【248】境界と自由759

承前:

江戸時代でも幕府領(北関東や大坂)では、一揆衆を銃撃するなど強硬な鎮圧を行なっている。(大坂の例は大塩平八郎の乱で、一揆という範疇ではなく武力衝突だろう)しかし、一般に一揆に対する各藩の対応は良く言えば「藩の自治」内であり、悪く言えば幕府や周辺の藩はほとんど放置している。

.

一揆について、今さら昭和の学者の「封建時代」論は見る気もしないが、一揆の同時代の筆者による記述の微妙なニュアンスは賞味する価値がある。幕藩の役人が書いたものでも、仕事とはいえ粘り強い筆致だ。安藤野雁(冑山)のような世間から孤立した文人はもちろん、金澤丹後(江戸日本橋)のような本来打毀しの目標になってもおかしくないような富商も、冷静に描写している。学者の書いたものとしては藤田東湖「浪華騒擾記事」があるし、神官の筆によるものもある。一種、記録の宝の山だ。事実関係は主に藩の下級役人や、役付き農民の証言によるのだろう。(藤原定家が京都で賊による騒擾が頻発した際、家の者を遣わして執拗に取材させたことを思い出す)

.

次の機会には全体をまとめてみたい。

.

季節は移る#iPon

2023日記【248】境界と自由759 _e0022344_14263803.jpg













by kugayama2005 | 2023-09-05 17:00 | 2023日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005