2023年 11月 29日
2023日記【331】境界と自由852
承前:
木戸孝允は明治政府の朝令暮改の現状を憂い、久米邦武は「五箇条の御誓文(1868年)」というものがあったではないですか、と木戸に問う。先に書いたように、「五箇条の御誓文」から4年しか経っていないのに木戸はそれを忘れていた。
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木戸は一晩考えて思い出し「五箇条の御誓文は斉藤利行、福岡孝悌の起草したものだ。私は極力これを維持する」と言い、立憲政治と議会開設の実現に意欲を示した。
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「五箇条の御誓文」の原型は由利公正の「議事の体大意」というのが今日の通説で、由利公正はなんとこの岩倉使節団にいたのですが、久米も木戸もそれに気づかないというのもちょっと奇妙。
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(参考)由利公正「議事の体大意」1865年
一 庶民志を遂げ人心をして倦まさらしむるを欲す
一 士民心を一にし盛に経綸を行ふを要す
一 知識を世界に求め広く皇基を振起すべし
一 貢士期限を以て賢才に譲るべし
一 万機公論に決し私に論するなかれ