2024年 02月 22日
2024日記【053】境界と自由934
承前:
「鉄砲改め」や「生類憐れみの令」の背景には意外な側面もあった、という内容は以下の通り。
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1 戦争がなくなり経済が発展したため、商人や職人が豊かになった。同時に、下級武士や主にその使用人(奉公人)らが秩序から外れ始めた。「カブキ者」化したのだ。特に末端の奉公人が博徒と化し、特異な風俗を形成し始める。彼らは商工人のように手に職はなく、現金収入を得るために法外のことを始める。
2 以前、井原西鶴が「犬釣り」を紹介して「いかに生きるためとはいえ人外」と書いていることに触れたが、「犬釣り」とは犬を捕って黒焼きにして食用に売る(あるいは自分たちで食べる)者たちの所業だ。そういう「犬釣り」に対して普通の人びとは強い嫌悪を示しているが、どうやら犬を捕まえて食用にする所行は、遊民化した武家の使用人(奉公人)たちによるものが中心らしい。
3 そういう背景からして、幕府が規制を図った対象は一般人ではなく、カブキ化した武家周辺の使用人(奉公人)だった可能性がある。
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以上は「生類をめぐる政治 元禄のフォークロア」/塚本学/講談社学術文庫/2013/2/12/からの受け売りで、次回以降も随所に引用する。
季節は移る#iPon