2024年 02月 25日
2024日記【056】境界と自由937
承前:
さても荘重な大名行列の中に、トリックスター的「奴さん」がいて、普段は槍持ち、笠持ち、箱持ちなのだが、繁華な街道や他の行列と行き合う時に、
◼️馬鹿げた歩き方をする。一歩踏み出すごとに足を(後方に)尻につくほど上げ、同時に片手をずっと前方に突き出す。まるで空中を泳いでいるように見える。そして槍や笠や箱を動かす(ジャクリングの要領?)。そして滑稽なふりをしたり、用心深げな様子をして見せたりする。(ケンペル「江戸参府旅行日記」第五章=街道)
※2人で槍を投げ交わすというのもあったようだが、それは後に禁止されたらしい。これらの「奴さん」芸は、行列見物者に対するサービスなのだろう。
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大名行列というと「下におろう、下に」と先触れされ、人びとは這いつくばったという印象を与えられているが、「下におろう、下に」は御三家御三卿の行列についてで、事実上は、尾張・紀伊に対してのみの話だったようだ。(水戸は江戸常駐、御三卿<田安、一橋、清水>も江戸城内に住居があった)。
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各大名小名にとって参勤交代の道中は、広報活動のチャンスでもあったと思う。
↓ 奴さん