2024年 12月 24日
2024日記【355】境界と自由1237
承前:
許六の書き物を読むと、何箇所も「(詩の)三神に誓って」という文言がみえる。これは芭蕉が「白砂人集」など秘伝書を許六に相伝するにあたって「みだりにこれを伝えるは和歌三神の御罰をこうむるものなり」と付記したことによるのかも知れない。
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そうなると、元禄6年6月20日付芭蕉の書簡(洒道宛)末にある
◼️「最近(あなたは大坂で一旗あげようなどと)少し名利を求めて振るまい出しているように思えます。昨冬(あなたが江戸の芭蕉庵に来た時)私が意見したことに違背すれば、(私は)詩の神(和歌三神)に誓ってあなたと絶交します」
という一文は、単に洒堂の暴走を諌めるという程度のものではなく、もっと激しい内容をもつものなのだろう。
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洒堂の大坂進出は、大都会で多くの門人を集め、入門料や点料をかせぐためと思われても仕方なく、多少うまくいかなくても医者として開業する道もあるわけだ。
↓「白砂人集」写本/東京大学デジタルアーカイブ