2025年 01月 11日
2025日記【011】境界と自由1258
2025日記【011】境界と自由1258
承前:
芭蕉は「おくのほそ道」後の「さび」「しをり」「ほそみ」、そして「かるみ」に集中し、さらなる俳諧の創造に立ち向かった。「猿蓑」はその金字塔で、伊賀の無名の門人も多く句を寄せている。他の句集と違って、作品はほぼ全員が芭蕉門人だという。
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その冒頭の発句、
◼️ 初しぐれ猿も小蓑をほしげ也 芭蕉
発句に先行する其角の「序」、
◼️我翁行脚のころ、伊賀越しける山中にて、猿に小蓑を着せて、俳諧の神を入たまひければ、たちまち断腸のおもひを叫びけむ、あたに懼るべき幻術なり。其角 (わが師の芭蕉翁は(「おくのほそ道」の旅から帰り、伊勢をへて)伊賀越しした山中で、猿に小蓑を着せて俳諧の神を吹き込むと、たちまち猿は断腸の思いを叫んだのだ。まさにおそるべき幻術である)
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師芭蕉と俳風を異にし、「かるみ」などに興味を示さなかった其角も、この一句に撃たれた。
↓滋賀県のウェブサイトから無断拝借/江戸天明期の句碑/伊賀市長野峠