ジャック・タチ「ぼくの伯父さんの休暇」

ジャック・タチを見直し見直ししていること自体、すこしおかしいのかもしれない。「ぼくの伯父さん」は1958年、ここにとりあげた「ぼくの伯父さんの休暇」はさらにさかのぼって1952年の封切り。実は「ぼくの伯父さん」をボクは公開時、小学校低学年で見ている。音楽からギャグまでおぼえていたという不思議さを、30年たって体験した。その後、入手できるタチの映像をそろえて、「ぼくの伯父さんの休暇」(原題は“ムッシュユロのヴァカンス”であり伯父さんではない)がとくに好きになった。「プレイタイム」(67年)制作で破産したタチは、「パラード」(73年)で老いた喜劇人をたんたんと演じ、撮影後、亡くなった。やはりタチはパリという魔都に消えた異邦人だったのか。・・・東京の少年が半世紀後もタチの幻影をおいかけているということで、それも良しとしたい。つけ加えるとすると、最後の3作、タチは執拗に“未完成な喜劇”(舞台も役者も準備中のまま映画は進む)を撮り続けている。タチの最期までを知ったうえでこれを見るのはつらい。なお「ぼくの伯父さんの休暇」という小説もあり、それを読むとこの映画のちょっとしたお洒落な仕掛けがわかる。おまけにも一つ、タチの映画には“いかにも小粋なパリ”という街角が出現するけど、すべて気に入るまでセットでつくったらしい。
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by kugayama2005 | 2005-08-25 00:01 | ■映画の楽しみ | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005