2019年 02月 15日 ( 1 )

初期万葉集について今回気づいたこと。


柿本人麻呂の安騎野の長歌にみられる枕詞(冠辞)の例


1 隠口(こもりく)の泊瀬(はつせ)


「こもりく」は山に囲まれた場所という意味というより、やはり「隠る」に強いアクセントがある。


「泊瀬」とは、今は「長谷」と書かれるように、山に囲まれた渓谷が一定程度長く続く地形だろう。まさに泊瀬(今の奈良県桜井市の長谷寺あたり)はそういう地形だ。


しかし万葉集初期の時代の「泊瀬」は、万葉集冒頭の雄略天皇の作と伝えられる、「籠(こも)よ み籠持ち・・・」が作られた、雄略朝の朝倉宮のある地。


泊瀬の山に聖地があり、そこに巫女となるべき乙女たちが山籠りをしたのだろう。さらに、貴人を火葬したという場所でもある。


◾️雄略天皇の長歌

籠(こ)もよ み籠持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串持ち この岳(をか)に 菜(な)摘(つ)ます兒(こ) 家聞かな   告(の)らさね そらみつ大和の国は おしなべてわれこそ居(を)れ しきなべてわれこそ座(ま)せ われにこそは告らめ 家をも名をも


【私訳】

カゴですね、良いカゴをお持ちだ、掘り道具ですね、良い道具をお持ちだ


この丘に草摘みなさるお嬢さん、あなたの家はどこですか、お答えなさい


この、天神が高天原から見たという大和の国一帯は、私がいて、私がすべて統治している


私にこそ、お嬢さん、あなたの家や名を、教えなさい


◾️この天皇の歌、


1 巫女になるべく修行の山籠りをしている乙女が、神事のひとつの菜摘をしている場面


2 菜摘は、一定の場所を決め(標)、そこでカゴいっぱいの指定の菜を採取する課題(なかなか集まらないので大変らしい)


3 乙女の山籠りは、「巫女アカデミー」とでも言うべきもので、名家の乙女を集めて、卒業すれば巫女の資格を得る(おそらく額田王なども巫女アカデミー主席卒業)


4 そこに出かけて行って、とりわけ優秀な生徒に声をかけるというのは、大君の特権


5 家や名を教えなさい、というのは、簡単に言うと、私のものになりなさい、ということ


6 籠や掘串、つまりカゴやスコップは、単なる道具ではなく、神具なので、カゴと言いながら美籠と言い換え、スコップと言いながら美掘串と言い換えているーーー冒頭、「こもよ」で始まることによって、「隠る」を連想させる


泊瀬の山は、籠る山なのだ。


この時スカウトされた巫女アカデミーの彼女が、雄略天皇の娘である春日大娘皇女(かすがの おおいらつめの ひめみこ)の母だろうか、というのは妄想。


【写真】富山地方鉄道(立山線)沿線/SONY DSC-RX0


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by kugayama2005 | 2019-02-15 01:51 | 2019日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005