2019年 08月 12日 ( 1 )

天文観測2


68312日、天武天文台開設8年、天武天皇は勅して、「皇位を継いでから、天瑞が数多く現れている。こうした天瑞は、政道が天道にかなっている時、示されるという。それを恐れ、また喜ぶ」と。


天瑞とは、おそらく天変地異だけではなく、動物にもその端緒が現れるもので、例えば日本書紀にもたびたび記されている、白い雀、白い雉、三本足の雀、四本足の鶏などの出現も天瑞とされるのだろう。


新羅では、善徳女王(在位632647)が天文台を創設している。その頃、中国の「山海経」などから収集された、天変地異のアンソロジー(「天地瑞祥誌」)がまとめられていたという説がある。「天地瑞祥誌」の写本は日本に3冊現存するだけらしいが、おそらく新羅からもたらされ、朝廷で珍重された。


天変地異、特異な動物、天文の観察は朝廷の機密事項、とする考えもある。本草や鉱物の秘薬や、動物・天文予祝の核心部は隠されていたのだろう。


日本書紀に書かれた天文現象は、主に日食・月食・ほうき星で、それが瑞兆なのか凶兆なのかは示していない。しかし、それとは別に、明らかに特異な現象も記録されている。


◾️68283日夜8

  大星が東の空から、西の空によぎった

◾️11

  火の色をした細長い旗のようなものが、空に浮かんで北方に流れた。それは各地で観測され、「日本海(越の海)に入った」という報告もあった。次には、大きさ3メートル60センチ四方の白気が、東の山に現れた。

◾️12

  大地震があった。

◾️17日

  地震があり、虹が天の中央に現れた。


大流星が飛び、怪しい気が起こり、大地震があった。11日の「細長い旗のようなものが、空に浮かんで北方に流れた」というのは、オーロラではないか?


藤原定家「明月記」の記述と比べてみよう。


◾️1204221

  北から東北の夜空に、赤気が出た。その赤気の根元の方は、白く明るい。それは遠くに続き、火事の光のようだ。白気は雲ではなく、雲間の星でもない。白光と赤光とが入り交じって光り続けるのは、不思議であり、恐るべきことだ。

◾️1204223

  北から東北の夜空に、再び赤気が出た。それは山の向こうの火事のようだ。とても恐ろしい。


682年の天武期の記録も、1204年の明月記の記録も、赤い旗状の気や、白い気が、日没後の夜空に現れるという。近畿地方のような中緯度地域で、オーロラが観測されることはきわめて珍しい。


682年の天武天文台の役人は腰をぬかし、1204年の藤原定家も恐れおののいた。これが吉兆であるわけはない。


◾️68283  オーロラが出現し、翌日に大地震

◾️68312  天武天皇勅「天瑞が多く現れた」


これはいささか怪しい。朝廷は、オーロラの出現と大地震に、おののいていたのではないか。


【写真】湾ねこ SONY DSC-RX0  VCT-SGR1

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by kugayama2005 | 2019-08-12 00:19 | 2019日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005