西行。(待賢門院ではなく)美福門院に惚れた説があるなら、その娘八条院(暲子内親王)に惚れないのはおかしい。


八条院(11371211)

西 行(11181190)


1156年(西行38歳/八条院19歳)

今宵こそ 思ひ知らるれ 浅からぬ 君に契りの ある身なりけり(西行)

今宵こそ痛切に思い知らされました。鳥羽院様との深い因縁がある私なのです。


西行(佐藤義清)は鳥羽院の時代、北面の武士だった。上記の歌は、高野山を降りた西行が、その鳥羽院の崩御に際して葬送にしたがう際の心境だ。その時、(鳥羽院の愛娘)八条院は19歳。


鳥羽院崩御と同時に、保元の乱が起こる。


西行は、鳥羽院の葬送の後、失脚した崇徳院のもとを訪ねる。崇徳院は鳥羽院の長男で、母は待賢門院。つまり西行は朝廷内の紆余曲折に関係なく、敗北側の崇徳院を見舞うという危険をおかした。


かかる世に 影も変わらず 澄む月を 見るわが身さへ 恨めしきかな(西行)

鳥羽院崩御とともに皇位継承の争いが起こり、武士が介入してきた。その結果、崇徳帝が謀反人とされ、出家してしまわれた。そんな今、しかし月は美しく澄んでいるではないか。その月を見る我が身が恨めしい。


一説によると美福門院に心を寄せていたといわれる西行が、待賢門院側に走る不思議。やっぱり待賢門院が本命だったのか。


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# by kugayama2005 | 2022-03-22 17:02 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)


承前:


八条院(暲子内親王)に一時仕えた女房(藤原定家の姉)の口述「たまきはる」によると、八条院(暲子内親王)は部屋にゴミが散らかっていても知らん顔で、女官たちがちぐはぐな服装をしていても文句も言わなかったらしい。それをよいことに、女房たちはみんな遊び暮らしていた感じだ。


八条院(暲子内親王)は父(鳥羽天皇)に溺愛されて、膨大な荘園を相続した。その荘園のネットワークが有力な情報網にもなる。


平氏追討の以仁王の令旨を(山伏姿で)東国に持って回ったのは、八条院蔵人の源行家だ。行家は急遽、八条院蔵人になったようだし、以仁王は八条院(暲子内親王)に愛育された人物なわけで、すべて八条院の掌中にある事件なのだ。


山伏姿の八条院蔵人が、以仁王の令旨を持ってくるわけだから、出来過ぎの感もするが、田舎の源氏にとっては青天霹靂、震えたか泣いたか。木曾義仲のように、暴走してしまったとしても仕方ない。


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2022日記【080】境界と自由312_e0022344_12430656.jpg


















# by kugayama2005 | 2022-03-21 17:00 | 2021日記 | Trackback | Comments(0)


承前:


西行が、待賢門院に惚れようが美福門院に惚れようが、私には関係ない話だが、八条院(暲子内親王)はすごい。


平清盛と源頼朝の暗殺を教唆あるいは指示したのは、八条院(暲子内親王)と後白河院だと思う。八条院は単なるお嬢様ではなく、後白河院とともに朝廷復活の可能性という精華に賭けたのだろう。


皮肉なことに平氏は義経の過剰攻撃で安徳帝もろとも亡き者となり、結果として頼朝が唯一のリアルパワーになってしまった。その過程で、義経を平泉に送り込み、源氏が相討ち、壊滅するよう企図したのだ。その情報戦に西行が少し参加してしまったわけで、


おろかなる 心のひくに まかせても さてさはいかに つひのおもひは(西行)

愚かな心の動きに任せてしまったのだが、さてそれはどうなのだろう。死に至る時に、私はどう考えるのだろう。


西行も、実は前のめりになっていたのではないだろうか。


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2022日記【079】境界と自由311_e0022344_12423423.jpg


















# by kugayama2005 | 2022-03-20 17:01 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)

酒器彩々84

酒器彩々84
茶酒とモツ煮、時々モツを食べると内臓に良い(はず)。急にラムレーズンを食べたくなったが、そんなものない。明日買ってこよう。
/iPon

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# by kugayama2005 | 2022-03-20 00:00 | 酒器彩々 | Trackback | Comments(0)


承前:


風になびく 富士のけぶりの 空に消えて 行方も知らぬ わが思ひかな(西行)


駿河路、小夜の中山を越え、さらに薩埵峠を越えるといきなり正面に富士が現れる。いよいよ、源氏の本拠地が指呼の間になってきた。


西行があえて「朝廷の密使」を引き受けたのは後白河院の意向はもちろんだが、後白河院とまったく心を重ね合わせて動く、八条院(暲子内親王)の存在があった。


1 後白河院の母は待賢門院(藤原璋子)

2 八条院の母は美福門院(藤原得子)

3 後白河天皇と八条院は異母兄妹で、父は鳥羽天皇


西行は蛇に睨まれた蛙。


西行が出家したのは待賢門院に恋をしてしまったからという説と、美福門院に恋をしてしまったからという説とがある。私の妄想では、北面の武士から検非違使に登用されそうになって逃げたのだと思う。


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# by kugayama2005 | 2022-03-19 17:00 | 2022日記 | Trackback | Comments(0)

君の名前の意味を聞いたら “山のきつね” まき毛はいかんせん狐色 瞳は草の緑をうつす好奇心。


by kugayama2005